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今年度初の「哲学カフェ」開催~成長するって?

5月9日(土)授業参観の後、2015年度はじめての「哲学カフェ」がKIS音楽室で開催されました。
「哲学カフェ」は、普段、私たちが当たり前に感じていることについて、少し立ち止まって考えてみるための<対話の場>です。
自由な対話を通じて、自分自身の考えに気づいたり、他者の考えに触れる楽しさを体験してもらうことを目的とし、今年度も基本的には月1回土曜日に、毎回90分ほどの枠で開催される予定です。

今回は、KISの学生の提案のもと、「テーマなし」で始まりました。授業参観の後の懇談会中に学生らが参加の呼び掛けを行ったこともあり、中等部、高等部、保護者の方々、大学生、大学の先生、地域の方といった、多種多様な顔ぶれ総計21名が参加しました。
まず、参加者の自己紹介と「最近どうですか?」という問いかけに応答するかたちで、ゆるやかに話が始められました。
新学期を迎えて約1か月が経ったそれぞれの日常や思いが次々と語られていき、様々なキーワードが出てくるなかで、「成長」が今回のテーマとして選ばれました。

成長したって思う時ってどんなとき?
「成長って意識的に『気づかないと』気づかないものだと思う。」
「昔は遊ぶことに喜びや楽しみを感じたけど、最近は、言葉が通じたとか、何かが達成できたということにも大きな喜びを感じる。そういう自分に気づいたときに成長したなあって。」

次第に話は、
「好きなことは頑張れても、勉強などの『しなきゃいけない』ことに対しては、なかなか頑張ろうという気になれず、自分でも成長できている気がしない」といった、学生たちの抱える葛藤へ。
こうした議題についても、学生たちは大人も頷かせ、唸らせるような意見を真っ直ぐに述べていきます。そこでは勉強に向かう意味を模索する姿も。
「私は将来なりたいものが3つある。だから、そこから逆算して、今がんばらなきゃって思う。」
「将来の目標やなりたいものって、誰もがいま持とうとしてもてるものじゃない。何になるかをいま決めなきゃいけないんじゃなくて、いま頑張っといたら何にでもなれるっていう考え方をもつようにしたい。」

また、「『成長』は確かに喜びや夢を与えてくれるものであるけれど、『しなきゃいけないもの』という圧力となった瞬間に、息苦しさを与えるものにもなるのでは」との意見も。
実際に、学生らからは、「高等部に入って、皆の勉強に対する態度や意識も変わって、気おくれというか、置いていかれている感じがする」、「前の自分と比べて今の自分は積極性がなくなってきていて、最近自分でもダメだなあって…」といったように、人や昔の自分との比較から、「成長」できていない自分に対する苛立ちや悔しさのようなものも語られていきます。

「必ずしもいつも積極的になる必要もなくて、逆に『しょげている時』にしか見えないことや、人の弱さなんかに気づいてあげられることなんかもあるように思う」「『成長』っていう言葉は個人的には大嫌い。弱肉強食の世界があってももちろんいいけど、でも『それだけでない』と声を大にして言いたい。」「鏡は自分よりも先に笑わないっていう言葉を最近読んだ本のなかで見つけた。自分の心の持ちようで現実も少しずつ変えていけるはず。」

また、「頑張ることも大事。でも、時には、頑張りすぎなくてもいいんだっていうことを、頭においててほしい」という優しい保護者の言葉も。

筆者自身も、肩肘張らず立場を取り払って話せるという、哲学カフェ特有の空間の在り方に心地よさを久しぶりに感じるとともに、発言の重みが一層増している学生たちの姿に驚かされつつ、「成長」について自身を振り返りながら深く考える時間を過ごすことができました。

次回の『第2回哲学カフェ』は、6月13日(土)13:00~@茨木市立豊川いのち・愛・ゆめセンター(KISから徒歩3分)です。
テーマは、今回に引き続き、「その場で決める」という方式で、参加者が、「最近気になる記事(雑誌の切り抜き、漫画のある場面等を含む)」があれば、それを持ち寄って自由に語るところからスタートします。大人子ども関わらずどんな方でも参加自由です。
足を少し止めて、呼吸を整え直す、ゆったりとした空間に是非お立ち寄りください。