フィリピンのルソン島西部、(噴火で世界的に知られる)ピナトゥボ山地に住むネグリト系少数民族であるアエタ族は、先住民族として知られ、人口約1500人。
伝統的には、移動・焼畑農耕と採集・狩猟生活を営んでいます。前日のアエタ族研究会・オリエンテーションを済ませ(ここでも、やはり、英語えいごエイゴeigo!)、NGOのマルビン氏の引率の下、イマニュエル聖書学校を後に。
いきなり四輪駆動のジープのお出まし!3台に分乗し、一路、ピナトゥボ山の麓へ。途中、道なき道をかき分けかきわけ、ピナトゥボ山の方角へ。
途中の途中、噴火の際の溶岩の流れによってできた”道”が“川”の流れを形成し、四駆が上下に激しくバウンドしながら・水しぶきをあげながら、ひたすら突き進んでいきます。
冒険(笑)の始まりです。やがて、ジープは、麓へ到着。ここからは全て徒歩で登山です。
膝下の深さの“川”をバシャバシャ・ズブズブ言わせながら渡り、水牛の荷車と遭遇しビビりつつ、一路、少数山岳民族アエタ族のコミュニティーへ。
日本では、人工的な建造物の合間に、細々と緑が垣間見える、という感じですが、ここは、圧倒的な自然、というよりはジャングルの中に、竹でできた家々が点在するという感じ。
まさに、自給自足で今も伝統を守り続ける少数山岳民族のコミュニティーという感じ。教師を含む10名が、4グループに分れ、ホームステイへ。まったく言葉が通じません!!!
コミュニケーション・ツールとしての言葉のありがたさを痛感。それ以前に(以後、も)、コミュニケーションの大切さを、教科書的ではなく、まさに体で感じつつ。
おもしろかったのは、通じないのは分かっていながらも、生徒達はボディランゲージで、なぜか英語を添えながら(笑)。
生徒達の柔軟な姿勢に脱帽!
なかでも特筆は、高等部2年・金俊君のバイタリティと順応性。
アエタ族の狩人たちが凛々しくも勇ましい姿(筋肉隆々の素肌に“(最小限度の)腰巻”姿!)で登場(観光地化なんて全くなされていませんので、まさに“ふだん”の姿!?)し、本物のにわとりを使った狩りの仕方や“調理”の仕方や野生の動物を捕らえるワナの仕掛け方伝授の時間では、俊君と高等部1年の光希君がもっとも熱心に彼らとコミュニケーションをとろうと努力していた印象を受けました。
その後、竹を調理器具とした彼らの伝統料理(竹蒸しにわとり料理に、竹で炊いたライス、キャッサバ芋など)を全て完食。ごちそうさまでした(鶏から出たスープが絶品!)!
次の日は大雨に悩まされながらも、川を徒歩で・ジープで渡れるかに悩みつつ、現地スタッフと何度もなんども協議をし、フィリピン空軍の情報提供と指導もあり、一瞬のチャンスをのがさず、渡河。なんとか問題を切り抜け、無事イマニュエル聖書学校にもどってきました。
そして、リフレクションタイム。アエタ族との時間を振り返るのです。
NGOのマルビン氏の司会のもと展開され、一人ひとりのスピーチタイム(もちろん英語)。だれか先陣を切ってスピーチしたい人は?の問いかけに全員「しーん」。
重くるしい時間が流れます。その時手をあげたのが、高等部1年・趙梨紗さん!!トップバッターはなかなかできません。普段は様子見の彼女が、“自分の英語”でトツトツと語ります。がんばりました!
それは全体の雰囲気を盛り上げました!感動的です。
その後、高等部1年の姜瑜羅さんも、先のスピーチの言葉入れ替え版ではない自分の言葉で、自分の知っている英単語を並べ、懸命に語ります。
“自分の言葉”で。実直性が伝わります。感動的です。そして、高等部2年・朴尚銀さん。彼女のスピーチは、選んだ単語をかみしめ、発音に気をつけ、ゆっくりと流れていきます。
その様子に、アエタ族の狩人たちもウンウンうなづきながら聞いてくれています。
それら全体の雰囲気を、金基聖君たち、高校2年生・3年生上級生達が引き継いでいきます。決して、“大統領のスピーチ”ではありませんでした。
が、話者の気合と感謝の気持ちがつくるハーモニーがすばらしい!おつかれさま、みんな!
さあ、久しぶりのアジアンブリッジのホームへ!
明日は、無事に(なんとか!?)飛行機に乗れそうです!
高等部2年・姜瑜珍さんの病院行きの際のみごとな働きっぷり。
ジェレミー先生と私が体調崩したあの時、あなたの言動がどれだけわれわれを助けてくれたことでしょう。!大感謝です!あなたの英語もずいぶん伸びました!
このフィリピン研修の成果をまさに体現してくれた生徒の一人です。これを自分のものだけにせず、(例えば、研修中に訪問した韓国国際協力団-KOICAで得たキーワード、「援助とは何か?」、「なぜ自国ではなく他国(フィリピン)を援助するのか、あるいは、援助しなければならないのか?」という、きっとあなたにとって今後ヘビーローテーションとなるであろう言葉とともに)後輩達へ伝えていって下さい。
われわれはパイオニア!KISからフィリピンへの道を拓いたパイオニア!!けれど、それは、今回参加した10名だけではなしえなかったこと!!!
年齢を“きっかけ”に今回残念ながら参加できなかった中等部の二人の思いと想いも引き受けてのフィリピン行。
かれらを含めた“みんな”で伝えてこそ、今回のフィリピン研修の真骨頂!!!
そう、最初であるが故、パイオニアであるが故、さまざまな課題が浮き上がってきました。と同時に、最初であったからこそ、成しえたこともあったはず。
胸をはり、前を見据え、語り部となり、今回のフィリピン旅行を語り伝えていきましょう!!!
フィリピンでお世話になったアジアンブリッジのスタッフの方々、行く先々で出会いお世話になったNGOのみなさん、住民のみなさん、学校の教職員のみなさん、ホームステイの家族のみなさん、お世話になった全ての人々、出会った全ての人々に・・・大きな声で・・・「ありがとうございました」。そして、「ありがとう、フィリピン!!!」
(文責:池田千丈<社会科・進路担当教員>)