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フィリピン短期研修便り②

フィリピン短期研修も後半に突入します。明日からは、(いわゆる)最貧困地域の学校建設を手伝ったり、そこで暮らす子どもたちに食事を提供したり、と“お客さん”から、転じて、逆の立場になったり、一般家庭にホームステイしたりと、環境が大きく変わりますので、さらに気を引き締めて行動しなくてはなりません。

さて、2回目の報告です!

ミリアム高校は、フィリピンの名門、私学の雄として非常によく知られ、フィリピンの富裕層の子どもたちが通う、保育所・幼稚園~中学校~高校~大学(博士課程まで!)の一大コミュニティー。
クリーム色のブラウスにうぐいす色のスカートがユニフォームのカトリックスクールです。そこに土曜日まで滞在、一週間弱のプログラムをKISの生徒は受けます。
欧州と日本のインターナショナルスクールでの勤務経験がある私から見ても、なかなかきついプログラムのようですが、朝・昼・夕方に、聖書の一節が全校放送され、こちらまで敬虔な心持ちになる雰囲気で、落ち着いて学べる絶好の場所とも言えます。
ミリアム高校は一クラス38名で、日本と比較して横長の教室に生徒達が整然と並ぶ“おじょうさま学校”とでも言うのでしょうか。

しかし、のんびりした雰囲気はありません。
理系科目に特に力を入れた(なんとロボティクスのクラブまで!)、一部の外国語系の科目を除き、すべて英語で授業がなされ、先生方の高学歴が特長とも言えます。
「いじわるな」私の観察でも、なかなか居眠りをしている生徒を見つけるのが難しいくらい、生徒一人ひとりが目的意識と使命感を持って、プライド高く勉学に勤しんでいる、という雰囲気に満ち満ちています。これが、ミリアム高校を名門と呼ばせている由縁でしょう。

授業がすべて英語で展開されているので、KISの生徒にとっては、いかなる教科・科目も、すべて英語の授業。生徒達は、ギリシア文学(なんと、中学3年生がソフォクレスの「オイディプス王」を精読!)や英文学や物理や数学や社会学や歴史の授業に参加して、一日目から試練の連続、という感じです。
KISの生徒は、一部を除きみんな“半泣き”状態です。
英語科のジェレミー先生と私の感覚では、KIS生徒らは英語の聴き取りは、完成度高くできるものの、スピーキングに難あり、という感じ。

それも、一日二日と経つにつれて、ブロークンながらも、とにかくコミュニケエーションをはかろうとする姿勢が顕著にあらわれ、ハラハラで始まったにもかかわらず、今では確実に英語力の“伸び”を感じさせます(私とジェレミー先生が保証します!)。
そこには、ジェレミー先生の一人ひとりのレベルにあった、一人ひとりに向き合った事前学習・個人指導の成果も現れているようです。ジェレミー先生に感謝!
生徒達は、通常授業の他に、「リーダー学」~「リーダー養成講座」、「平和学」等、ミリアム高校では、ふつうに設定されている講座ながらも、日本ではまだめずらしい講座を今回受けさせてもらえることになりました。
それらはワークショップ形式で進められていきますので、黙って座っていられませんし、具体的な参加もガンガン求められます。
非常にしんどいこと必至ですが、生徒一人ひとりが、それぞれ「握りこぶし状態」でやる気を出してくれていますので、教師は一歩下がって見守ることにしたいと思います。

生徒たちの頑張りもあり、最終日には「ミリアム・カレッジ・ハイスクールー英語集中講座&平和学・リーダー学ワークショップ修了証書授与式」が行われました。
ミリアム・カレッジのPrincipal(校長)フォミン博士により、KIS生徒に対して「修了証書」が授与されました。
この日、KISの生徒“8名”は、人前に立ち、たったひとりでプレゼンテーションを、しかもすべて英語でおこなわなければならず、みんな緊張の極致に…。
しかし、ひとりの例外もなく、8名全員が、立派にプレゼンを行いました!
ず~と、つかずはなれず(指導し)見守ってきたジェレミー先生と私の目に「涙」が…(笑)。
感動的な修了証書授与式でした!!!

(文責:池田千丈<社会科・進路担当教員>)