2枚目のポスターはKISの「自由」対する考えを表したものです。
KISには
人を大切にする自由はありますが、人を傷つける自由はありません。
人と違う自由はありますが、人と違うことを責める自由はありません。
学ぶ自由はありますが、学ばない自由はありません。
これがKISが考える自由です。
KISの教育理念である「多文化共生、自由と創造、人権と平和」を教育活動に落とし込むためにどうすればいいのか。
リベラルアーツ、多文化共生論、在日コリアン史など、KISにしかない授業があるからと言って、KISが教育理念を大切にしているとは言えません。
そこで、今年度から取り組んでいることが3つあります。
1 KISが大切にする価値観を「人・多様性・学び」としました。
2 教育実践の原則を「自由と責任」としました。
3 1,2が実践できているかを常に確認し、更新する仕組みを作る。
1,2を文章にすると、上のようになりました。
これをベースに色んな取り組みを始めました。
まず、全体で共有するルールのハードルはかなり下げました。これはKISが多様な文化的背景を持つ人たちで構成されているからです。それぞれの価値観や常識を尊重するには、みんなが合意できるレベルでルールを決める必要があります。次にルールに対しては厳しく対応するようにしました。これは言いかえればルールにないものは問題にしてはいけないということです。そして、このルールが常に柔軟に更新されるように生徒、教職員、保護者、理事、地域住民、教育関係者で構成される教育評価諮問会議を定期的に開催し、学校教育に反映するようにしました。これが、3です。
ポスターの写真から分かるように服装など見た目に関する規定を試験的に無くしています。なぜならKISの価値観と原則から考えると制服を強制する合理的な理由が見当たらないからです。KISは見た目で人を判断しないということです。理由がないのに「ダメ」と言う見えないルールが学校の中にはたくさんあります。この見えないルールが生徒たちの「問題を解決しよう」と言う意欲を無くします。問題解決能力を育てるというのはKISの教育の特色の一つですが、これには問題を解決できる機会と経験が必要です。そのようなルールはしっかりと検証し、大胆に変更していきたいと思います。すべてが自由と言うわけではなく、進級や卒業に関する規定は今までより厳しくしました。また、これまで無かった懲戒規定も詳しく決めました。これは1,2と関連します。自由がないところで、自由の大切さを感じることはできず、責任のないところで責任感は生まれません。社会(学校)を構成する人が変わり、時代が変わると求められるものも変わります。常に変化し続ける柔軟さが学校教育には必要だと考えます。