KIS第1期生の保護者でもある白承豪弁護士 (神戸セジョン外国法共同事業法律事務所共同代表) を招いて、11月5日(木)に「「あいうえお」からの司法試験」という題で、特別授業を全生徒対象に開催しました。
白弁護士は、ソウル出身で、5歳の時にトラックに引きずられ、右腕を失い、2年間入院して何度も手術を受けました。
そして、お父さんの事業の都合で小学校卒業と同時に、沖縄に移住しました。
当時、本当に「あいうえお」も知らない状況で、授業がまったくわからず、級友とも対話ができず、心細い思いをしました。
トイレに行くことも怖くて、教室でじっと我慢して、帰宅してからトイレに行くという毎日だったそうです。
体の障がいに言語のハンディが加わったわけですが、幸い、期待をかけ続けてくれるご両親の愛情と沖縄の人たちの温かい支援を受け、挫けることなく、頑張ることができ、成績も徐々に上位に入るようになりました。
琉球大学法学部に進学して本格的に司法試験を準備することになりますが、タダでも日本で一番難しい試験に、言語のハンディ、右腕をなくしたハンディ、そして外国籍という三重のハンディを克服して本当に合格できるかどうか不安が尽きなかったそうです。
周りがどんどん就職する、お父さんが亡くなり、家庭の経済状況も悪化した中で、司法試験を受け続けていいのかとモチベーションを持ち続けることはたやすいことではありませんでした。
食事とトイレに行く時間以外は、法律書に没頭して「七転び八起き」。まさにその諺通りに、司法試験に挑戦して8年目の28歳に見事合格しました。
弁護士となり、安定的な収入と名声を手にしたが、それよりも法律知識に乏しい弱者を助ける喜びこそが弁護士になって一番よかったこととし、いま目の前に与えられた課題に一つひとつ真面目に取り組む姿勢を大事にする、そして、志をもって、逆境に挫けないで、世の中を変えるような仕事をしてほしいと力説していただきました。
特に、日本と韓国、両国の弁護士資格をもって活躍している人はまだ一人もいないので、ぜひKIS卒業生から第1号が出てほしいと励ましていただきました。
KISには中1から韓国や中国から来た留学生もいます。親元を離れ、言葉のハンディをもって生活している留学生にも大きな励ましになったと思います。