社会の各界の第一線で活躍する学者、企業人、国際機関関係者、NGO活動家などを招いて実施する特別授業の今年第1回目の授業が4月23日(月)に行なわれ、中等部・高等部の全生徒が参加しました。
この日は、大阪大学大学院人間科学研究科の渥美公秀教授をお招きして、「東日本大震災が問いかけるもの~現場からの報告」と題した授業が行なわれました。
渥美教授はボランティア論、防災・減災の研究者である一方、NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク理事長も務められ、インドネシア、中国などの海外での災害救援や新潟・中越地震や今回の東日本大震災の救援活動にも中長期的な視点から関わり続けている実践家でもあります。
この日の授業で渥美教授は、その豊富な災害救援の経験をもとに、「震災時に食料をできるだけ多くの人に食べていただくのが良いか、それとも食べに来られない人々に配りに行くのか」など具体的ケースを例に挙げながら分かりやすく授業を進めました。
「メディアは、震災の初動期に現地ではガソリンがない、ボランティアの受入れ団体がないなどの理由から至急被災地に行くべきではないと主張したが、本当にそれでよかったのか」とメディアリテラシーの視点からも問いかけました。
あくまで被災者が何を要求しているのか、主語を被災者において判断すべきであると強調しました。
また、若い世代やボランティアができることは、大人や行政による既成の枠組み内での救援活動だけでなく、意外な代替選択肢を提示することも重要であると述べました。
その上で救援活動において自らが大切にしていることについて最後に述べて講義を終えました。生徒からは放射能汚染の現状や小規模集落の支援状況についての質問がありました。
KISでは、今回の特別授業を受けて、5月連休の2日から6日まで東日本大震災ボランティア活動として、大阪市内の市民団体のプログラムに高等部生徒9名と教職員2名が参加し、宮城県七ヶ浜と岩手県野田村を訪れます。
災害時に考えるべき事柄だけでなく普段から考えなければならない普遍的な課題について振り返る機会になるとともに、とても実践的な特別授業でもありました。