校長就任のご挨拶

この度、コリア国際学園(KIS)の校長に就任しました都裕史と申します。時の経つのは速いもので、すでに校長就任後二ヶ月が過ぎましたが、改めてご挨拶申し上げます。

思い起こせば、私とKISとの関わりは学校創設期に遡ります。長年、在日コリアンとして教職に従事していた私にとって、KISの設立はとても興味深い出来事でした。

個人的な友人、知人が少なからず関わっていたことや、親戚のお子さんが第1期生として入学したことも相まって、未だ校舎がなかった時代に鶴橋の雑居ビルにあった教室を訪ねて行ったこともありました。
5年ほど前には「出前授業」の依頼を受け、当時の高校生を対象に授業を行った事も、しっかりと記憶に残っております。

そして今年の3月、前任校での30年に亘る勤務を終え、念願であったKISでの仕事が始まったのです。
校長就任に際し、今後の学校運営に関する基本的な指針を以下に述べさせていただきます。
まず、言うまでもなく学校の「主人公」は生徒であり、その生徒が健康で健全な学校生活を過ごせるような教育環境を再整備していきたいと考えております。
もとより、本校は中高一貫校でありますので、子どもから大人への過渡期にある、多感で不安定とも言える思春期の年代の生徒たちが集う場であります。

そうであるが故に、教職員と生徒は何よりも規律を重んじ、規則を遵守する感覚に満ちているべきです。同時に、学校の教育環境は、設備や備品をはじめ、生徒の私物なども常に整理整頓され、清潔な状態に保つことを徹底しなくてはなりません。
そのような教育環境を作っていくための生徒指導は、生徒をして自己管理能力と集団運営意識を高める、最も初歩的で重要な教育課題であることは、異を唱える余地がないと考えています。

次に、授業時間の量的調整や、質的な向上を通した充実化を進めなければならないと感じています。
授業そのものの内容を充実させるため、教科担当教員の専門的な教授力を前提に、科目を跨いで積極的に学ぶ生徒を育てるための授業運営を整備する必要があります。

人として、中学1年生から高校3年生までの期間は、人格形成の最終段階にあると捉えることができます。故に、自らが経験するすべての事柄に対し、真摯に向かい合いながら苦悶しつつ、恒常的に努力を積み重ねることは非常に大切な作業です。この年頃の時期での成功体験は生徒に自信を与えて向上心を飛躍的に増幅させますが、時には失敗や挫折を通して逞しく育っていく時期でもあります。
与えられた課題から決して目を逸らさず、常に挑戦する態度こそが、自らが描く理想の将来に近づいていく道筋だと自覚させることは、極めて重要な教育課題です。

授業担当教員は、生徒の感性を刺激するための「問いかけ」を示し、知的好奇心をかき立てるための話題を展開しながら、日々の授業を運営します。
知識や教養を大量に記憶させる訓練としての授業に偏重せず、個人の資質、才能を開花させるための作業こそが教育であることを明確にしておきたいと思います。

このような教育の延長線上に卒業後の進路指導が位置づけられますが、典型的な例として、大学受験での合格は決して人生の「目標」ではなく、理想に向かって前進するための「機会」であることを、生徒にしっかりと認識させていきたいと考えています。すなわち、目の前の事柄に汲々とすることなく、弛まず成長し続けていく人物像を提案したいのです。

もう一つここで言及しておきたい事は、授業を中心としての「教科指導」は、日常的な「生活指導」と両輪を成してこそ活性化するという観点です。
前述したように、KISでの生徒は多感な人格形成期にあります。時には、親や教師のような周囲の大人に対して素直に対応できず、落ち着きを失って反抗的になる場面もあるでしょう。また、生徒の本分である学業から逸脱してしまいそうになる局面も予想できます。

順風満帆な思春期は基本的にはあり得ず、そうであるが故に四方八方から支援の風を送り続ける学校にKISをしていきたいと考えています。しかし、それは必ずしも「転ばぬ先の杖を突く」行為に終始することを意味せず、成長の糧となる逆風を送る場合もあるかもしれません。

思春期の喜怒哀楽にしっかりと付き合い、いつも生徒の側に寄り添って見守る態度をKISの教職員は堅持しながら、生徒を指導していきます。それこそが、「生活指導」だと私は考えています。

最後に、学校の「主人公」が生徒であるならば、保護者や教職員などの周囲の大人は、重要な「脇役」です。脇役同士は、たとえ互いの考えを異にしても、主人公をもり立てるためには責務に徹しなければなりません。保護者と教職員などの周囲の大人は、その立場の違いが醸し出す「対立」はあり得ます。但し、対立するからこそ虚心坦懐に心を開きあい、率直に意見を述べ合って協議する作業を避けることなく、むしろ積極的に模索していくべきだと考えています。

今後、KISを発展させていくためには、解決していかなければならない様々な課題が山積しています。例え「困難」を前提としながらも、果敢に挑戦する姿勢をもって皆様方に提案していくことになると思いますが、どうか、忌憚のないご意見と暖かいご理解をお願いすることをもって、校長就任のご挨拶とさせていただきます。

2016年10月13日
コリア国際学園(KIS)
校長 都裕史

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