奈良。
KISから片道2時間の小旅行。若草山の山焼きが目的なのではなく、奈良教育大学で行われた『第4回ユネスコスクール全国大会、持続発展教育(ESD)研究大会(主催:文部科学省・日本ユネスコ国内委員会)』に参加してきました。
今までは1月12日~13日に開催された『日韓中高校生フォーラム』とその準備セミナーに生徒の背後霊のように教員はついて行っていただけですが、今回は立場が逆!?
主な参加者は小中高の教員、大学の先生、教育委員会の職員やユネスコ協会の方々でした。高等部2年の姜喩珍さんと、高等部1年の朴苑善さんと姜喩羅さんが研究大会参加メンバーの中では最年少唯一の学生でした。
大人の中に3人だけちょこっと縮こまり、目をきょろきょろさせながら大人の話を真剣に聞いていました。
お疲れさま^^
それでは今回の研究大会での吸収成果をご報告します。まず、SEAMEO-JAPAN ESD Award受賞校による発表では、「学校防災計画(SDMP)と活動」というテーマでクンジャンゴン郡立第一高等学校(ミャンマー)のドー・タン・タン・エー先生の報告を聞きました。
ミャンマーは日本と同じように災害が多い国で、2008年にサイクロン「ナギス」により未曽有の被害を受けたそうです。
これをきっかけにクンジャンゴン郡立第一高等学校では、将来にわたってこのような状況を避けるために行動を起こしました。
これが「学校防災計画(SDMP)と活動」です。受賞の最大理由は、計画的に学校内に防災のための組織を設け、「地域と連携」して災害時に対処しているという実践成果でした。学校内だけに限らず地域とも協力し、防災教育や訓練に努めました。この結果、生徒や保護者・住民にサイクロンへの対処について関心を持たせることができ、生徒は防災スキルと自信がついたとのことでした。
次に、「語り部・かたりすと」平野啓子さんによる特別授業、「語りとESD『声に出して感じる自然のうつくしさ』」について。
平野啓子さん、、、ご存じの方も多いのではないでしょうか?そうです。「NHKおはよう日本」の元キャスターです。現在は武蔵野大学で非常勤講師として伝統文化を研究なさっています。
特別授業の内容は、日本が誇る名作名文を中学生に声を出して読み上げてもらい、文字や写真からではなく、「声」から自然の美しさを感じよう!というものでした。奈良教育大学付属中学校の生徒約20人が分かち読みなどをし、清少納言の『枕草子』や宮沢賢治の『やまなし』、『雨ニモマケズ』の世界を披露しました。文学的感性がほぼ皆無の私の頭の中は常時「?」マークが浮かびっぱなしでしたが、「他作品で擬音語・擬態語を強調してしまうとクドくなるが、宮沢賢治の作品では擬音語・擬態語をむしろハッキリと声に出すことで文章の良さが引き立ってくる」という説明には素直に頷けたような気がします。
この他にも、ランチセッションでは協力企業による社会貢献活動の紹介を聞き、電子辞書やデジタルカメラで有名なカシオ計算機株式会社が持続可能な社会の実現を望み、2007年から「命の授業」という出前授業を始めていたという事実に単純に衝撃を受けました。
テーマ別交流研究会では、9つのテーマ(地域・博物館・企業・NPO等との連携、ESD校内浸透・連携と活動の継続性、学習指導要綱とのリンク、コミュニケーション能力・問題解決能力とESD、国際理解教育、環境教育・生物多様性等)に分かれ、各テーマ代表校の報告を聞いたり、グループに分かれ、他校の先生方、教育委員会関係者の方などと意見交換をしたりしました。
舎監の池先生と私は、学校間交流(国内)セッションに参加しました。ここでは岡山市立第三藤田小学校の藤澤正宏先生による『人・社会・自然などと自分とのつながりに関心をもち、主体的にかかわろうとする子どもの育成』というプレゼンテーションを聞きました。
藤田中学校区内にある第一から第三藤田小学校同士間の交流、藤田中学校との連携、その他、地域の農業高校や岡山大学、地元企業などとの交流を通し、人、もの、食、環境などさまざまなものが自分たちの生活と深く関わっていることに気づき、他者と関わる力やコミュニケーション力を身に付けるための実践紹介を受けました。
今回の研究大会では、ユネスコスクールに認定された他校が、どのようなESD教育を実践しているのか、また、教員、教育委員会やユネスコ協会関係者、3人のKIS生とで、より“良い”ESD教育を追求し合うという大会でした。いつかは、否、今年度には、KISがESD大賞を受賞したい!ファイティン!♪
(KIS社会科教員:金明佳)