高等部生徒9名が教職員2名とともに、5月連休中の2日から6日まで、東日本大震災のボランティア活動に参加しました。行先は宮城県の七ヶ浜と岩手県の野田村でした。
主催は大阪市内にある上町台地界隈の町会やNPOなどで構成される上町台地・屋台村実行委員会。被災地の仮設商店街内で「屋台村」を開き、被災地の方や子どもたちと大阪の食や遊びなどを通じた交流を目的とするボランティア活動でした。
先日、これに先立ち大阪大学の渥美公秀先生に震災に関する特別授業を受け、その後自発的に参加意思を表明した生徒たちが参加しました。残念ながら希望した数名が宿舎等の事情で参加できませんでしたが、ボランティア活動に参加表明した生徒が多かったことに驚きました。
5月2日夜、大阪市内を貸切バス一台で出発した一行は総勢約30名。町会の役員、NGOの専従職員、たこ焼きなどの器具を製作する町工場の経営者、大阪大学や関西大学の学生など多彩な面々でした。
大阪から15時間をかけて到着した宮城県・七ヶ浜は、大雨のため予定されていた「屋台村」の出店、ガレキ処理の活動ができずに、仮設住宅内にあるお店で被災者の方々との交流会が行なわれました。
地域コーディネーターとして現地に根を張り活動を行うNPO法人レスキューストックヤードのスタッフや復興に向けて前向きに努力する被災者の方々の姿が印象的でした。
翌朝、被災した七ヶ浜の現地に歩いて行きました。
津波に流された広大な土地に残る家屋の土台。手つかずのままの陥没した海沿いの公園。積み上げられたガレキの山と潰された車の数々。地震から1年以上経た今もなお、その爪痕が色濃く残る被災地の風景に生徒たちも多くのことを感じたようでした。
その後岩手県の野田村にバスで移動。翌朝はそれまでの雨模様が急きょ晴れて、野田村の愛宕神社の鳥居前に「屋台村」をオープンさせました。
KIS生徒たちは積極的に屋台の準備にとりかかり、大阪の食としてイカ焼きやチジミ、ベビーカステラの屋台を出すとともに、地域の子どもたちも楽しめるようにと縁日の屋台に定番の射的や輪投げのブースも出されました。生徒たちは各自の役割に沿って一生懸命にボランティアに取り組みました。
「無償で提供されることに慣れてきた被災者が、自らのお金で物を買って復興していくことが重要な段階になっている」と語った被災地のコーディネーターの言葉が印象的でした。
長時間のバス移動、「屋台村」を通じた被災者の方々や支援するNPOのスタッフとの交流、宿舎での多様な職種や年代の大人を交えた食事会での交流など「支援から交流」をキーワードに取り組まれた今回のボランティア活動は、生徒たちにとっても貴重な経験となりました。