今回の「教養・Liberal Arts」科授業は、KIS理事でもある大阪市立大学の朴一先生
をお招きして行なわれた。
授業のテーマは「独島(竹島)の領有権問題から見た日韓
関係」。独島(竹島)の問題を通して、紛争とその解決の捉え方について、考えるこ
とを目指された。
■独島(竹島)をめぐる日韓の主張の対立
朴先生は、「TVタックル」や「サンデージャポン」など、自身が出演したテレビ番
組の討論の場面をビデオで見せながら、独島(竹島)をめぐる韓国側と日本側の意見
の対立を浮かび上がらせていった。
「日本が竹島の領有権を放棄しなかったというのは本当か」「国際法的に独島(竹
島)を最初に実効支配したのは日韓どちらが先か」「1905年の日本による竹島編入の
法的正当性はあるのか」「戦後のGHQによる独島(竹島)処分に関する認識はどのよ
うなものだったのか」「国際機関による裁定は可能か」。日韓の間で主張が食い違
う、そのような争点について、20世紀の国際関係や戦争の歴史を振り返りながら、朴
先生は一つひとつ解説していった。
今回、朴先生は韓国側の主張に立ち、領有権の問題について解説した。
それは、韓
国が正しいということを言いたかったからではなく、一方的な意見を聞いて判断する
のはアンフェアだから。
現在の日本では、メディアを通して日本側の主張のみが大量
に流布している。「両方の意見を聞いて判断してほしい」と先生は生徒たちに語っ
た。
■問題解決に向けて
では、独島(竹島)の領有権をめぐる紛争はどのように解決されるべきだろうか。
一方が自身の正当性を主張し他方を非難する、ということを繰り返していては、両者
の態度がますます硬化していくだけだろう。
朴先生は領有権の所在よりも、その周辺
で漁をする、日韓の漁師の生活を最優先した議論が大切ではないか、と問いかける。
先生は自身の見解として、独島(竹島)周辺の共同管理水域で漁師が操業できる秩序
を、日韓漁業協定の下でつくり出していく努力が必要である、と述べた。
客観的な視点で両者の理由を聞いて、仲裁をすること。そこでは、必ずしもどちら
かに軍配をあげるわけではないという選択肢もあるかもしれない。
国家間に限らず、
自身の身のまわりも含めて紛争は数多く起こっている。
生徒たちは、そのような紛争の解決のひとつのヒントを、学ぶことができた。