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中等部2年生、充実した韓国研修を体験

中等部2年生は7月1日~12日、11泊12日の日程で韓国研修に行ってきました。
KISの協力校である韓国ソウルにある国科人学校(代案学校)の寄宿舎に寝泊まりし、国科人学校でコリア語・英語による授業を受けたり、外部踏査に出かけたりしながら、韓国の社会、歴史、文化、科学体験など、日本にいては経験できない貴重な経験を積んで帰ってきました。
また、KISと同時期にタイの生徒4人とニュージーランドの生徒2人が国科人学校へ研修に来ていたこともあり、韓国だけではなくタイとニュージーランドの生徒たちとの交流を通し、言葉の違い、文化の違い、歴史の違いを越え、友達になれたことはきっと一生の思い出として生徒たちの心に刻まれることでしょう。

○国科人学校での授業
 

国科人学校での授業は、全て英語で授業を受けるAチームと全て韓国語で授業を受けるBチームとに分かれて行われました。Aチームにはタイとニュージーランドから来た生徒6名とKISからは2名の男子生徒が、BチームにはKISから11名の生徒が配置されました。
 
全て英語で授業が行われるAチームは「ロボット授業」が特徴的でした。
国科人学校は科学系に力を入れている学校であることもあり、ロボットのプログラミングから組み立てまで、その難しい工程を慣れない英語の説明だけで苦労している様子でしたが、最終的には皆で力を合わせて見事に乗り切っていました。
帰国前日に行われた修了式ではKISの慎世龍君がMindstorms NXT Education Kitを用いて作成したロボットについて、Aチームの代表として英語でプレゼンテーションをし、学習成果を披露してくれました。
 全てコリア語で授業が行われるBチームのKISの生徒11名は国科人学校の1年生と2年生のクラスに分かれ、国科人学校の生徒たちと共に授業を受けました。
KISではコリア語や英語の授業は主にコリア語・英語自体を学びますが、韓国研修ではコリア語や英語で様々な教科を勉強したため、授業に集中しないと先生の話を聞き取れない生徒が多く、先生の言っていることを理解しようと常に真剣に授業を聞いている姿がとても印象的でした。しかし、生徒たちは常に集中してはいられません。
集中力が切れてしまい、先生が何を言っているのかさっぱり分からずにボーっとしながら先生の顔をただ眺めているだけの瞬間が余計に一生懸命授業に取り組んでいることを感じさせてくれました。
 
Bチームは国科人学校の生徒と交流しながら授業ができるように国科人学校の先生方が特別に授業を構成してくださいました。
国科人学校の生徒と共に独島・竹島を紹介するポスターを作成したり、国語の授業では、好きな本を選び、先生が言うコリア語の単語を選んだ本の中から探すゲームをしたり、国科人学校には日本語の授業があるので、日本語の授業では反対にKISの生徒が先生となり、自己紹介や趣味を尋ね合い、楽しみながら授業を受けていました。
 

A・B両チームで韓国の伝統音楽である「판소리(パンソリ)」体験もしました。
「アリラン」は生徒たちも聞きなれた民謡ですが、今回は「진도 아리랑(珍島アリラン)」という全羅南道珍島地方の民謡をパンソリの先生に教えて頂きました。
珍島アリランを聞いたのは初めての生徒が多く、「♪アリアリラン スリスリラン♪」と楽しそうに歌っていました。呉昇樹君が一生懸命に歌っていたとパンソリの先生から名指しで褒められ、特別に韓国の昔の軍服を着せてもらえるという嬉しいハプニングもありました。
 
生徒たちは、慣れないコリア語と英語だけの授業に疲れ、早く終わらないかと時計を気にする素振りを見せていましたが、最後の授業には、「これで終わりか…なんか寂しいな…」と感想を述べる生徒が多く、KISにいては決して受けることのできない授業を受けることができ、国科人学校の先生方と生徒たちに感謝しています。

○外部踏査
外部踏査とは、日本ではいわゆる、社会科見学のようなものです。
DMZ(非武装地帯)、洪川自然学校(江原道)での1泊2日キャンプ、KBS(韓国放送)、西大門刑務所に行ってきました。

生徒たちは事前学習として、これらの場所が歴史的にどういう意味を持つ場所であるのかをきちんと学習してから韓国研修に臨みました。
また、少しでも生徒たちに考えを深めてもらえるように、DMZに見学に行く前は、国科人学校寄宿舎でも自立学習時間に映画「JSA」を見たり、南北分断について話し合う時間を持ちました。「百聞は一見にしかず」という諺があります。
都羅展望台に行くと、一目で韓国と北朝鮮の境界を見ることができ、それぞれの領土に太極旗と人共旗がなびいていました。
生徒たちは、こんなにも近いのに、同じ民族なのに、南北朝鮮が分断しているという歴史的事実を身をもって感じた瞬間だったようです。
また西大門刑務所は植民地時代に独立運動家らを収監し、監獄や死刑場、取り調べの様子を史料や人形で再現していますが、残酷な展示物で、感想に「気分が悪くなった」と述べる生徒もいましたが、自由と平和の大切さを学んだようでした。
今までクラスメートと自由や平和、南北分断などについて話し合いをしたことがなかった生徒たちにとって、この研修で皆の意見を聞きながら学習できたことはいい経験となったようでした。

○生徒たちの感想
佐藤芙優子さんは、「1日目から色々あって大変でしたが、楽しかったし、研修が終わるのが早く感じました。特に、日本大使館前で行われている慰安婦ハルモニの水曜デモにも行け、様々な歴史的な問題についても考えられ、南北問題について、平和についての考えを深められてよかったです。北朝鮮にも行ってみたいと思いました。」と。木村ふうかさんは、「とっても楽しかったです。みんなと行く研修はこれが初めてなので、どうなるかと思って心配でしたが、たくさん勉強もできて本当によかったです。」と。

井上透椰君は、「一番面白かったことは高麗大学校でアイススケートをしたことで、一番辛かったことは僕一人電車に置いて行かれたことです(笑)。あまりにも研修が早く終わりすぎて、あと1年くらい韓国にいたかったです。中学校3年生から国科人学校に留学したいです。」と語ってくれました。

皆それぞれ、この韓国研修が楽しく、そして有意義な思い出として残り、大きな事故や怪我もなく無事に終えられたことを幸せに思います。
約2週間、韓国で貴重な体験をした子どもたちが、これからどのような越境人に成長してくれるのか、楽しみです。