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南京大虐殺被害者 夏淑琴さんをお迎えして

いくつものチャンスと努力の結果、南京大虐殺(1937.12.4-1938.3-28)の被害者の体験を、本校で聞く機会を持つことができました。
 
12月7日、本校の門をくぐられたのは、夏淑琴(シア・スーチン)さん、84歳です。夏さんは今回、日本6カ所で証言をされるため南京から来日されました。
大阪滞在中にもう1カ所、とお願いして来校が実現しました。
 
当日の参加者は高等部生徒と、中等部からの希望者、合わせておよそ50人ほどです。会場となったコンピューター室いっぱいに生徒たちが集まりました。
 
はじめに、金正泰教頭先生から、歴史を学ぶ意義についてひとこといただきました。
その後、社会科教員(水野)から、南京大虐殺とはどのような事件だったのか、またなぜ起こったのか考えてみようという話をしました。続いて、中国からの同行者である南京大虐殺記念館館員の李雪晴さんに、日中友好についてのあいさつをいただきました。
続いていよいよ、夏さんにご登壇していただきました。
 
夏さんは、日本の出版物において名指しで「ニセの証言者」と言及されたことをきっかけに、過去何度も日本に来て証言をされてきており、大勢の前で話をするのも初めてではありません。
しかし、幼い頃に目の前で家族を殺された体験は、今なお癒えない彼女の心の傷です。目を赤くしながら声を荒げる夏さんの話に、生徒たちは真剣に聞き入っていました。その様には通訳の人も驚いていました。
 
夏さんの話にはうらみも痛みもあります。一方で夏さんは、若い生徒たちにはうらみはない、話を聞いて考えて勉強してほしい、と語りかけました。生徒たちの受け取り方は様々です。
その体験の惨さに胸を痛める子、人間を恐ろしい存在に変えてしまう戦争に戦慄する子、ひどいことをされてきたのは在日コリアンだけではないのだと気づいたという子、などいろいろな思いが残ったようです。
 
こうした感想の裏には、当日にいたる諸々の経緯がありました。
 
2週間も前から生徒に対し「遠く中国から高齢を押して戦争体験を話してくれる人がやってくる」と熱心にアナウンスされた社会科の池田先生と金明佳先生、事前に渡した資料(夏さん以外の方の短編証言集)を読みこんできた生徒たち、当日配布した夏さんの証言をコリア語訳してくれた金泯芝先生、ほか多くの方のご協力で実りある特別授業とすることができました。
 
生徒たちには今回の体験をぜひ、人生の糧の1つとして欲しいと思います。ありがとうございました。

社会科教員 水野友美